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1台のトラックから起業 日本の伝説的創業者の半世紀
丸和運輸機関創業者、和佐見勝代表取締役社長
8/21/2021 7:38:43 AM  文/本誌編集長 蔣豊
 
 

和佐見社長へのインタビューは今回で3度目である。私自身が創業者であることから、創業者の経歴に常に興味を覚え彼らから成功した秘訣を探り出したいと思うのである。全ての経営者や創業者が、この記事に繰り返し触れることで、活路を見出せるに違いない。

 

1台のトラックから50年で日本を代表する3PL会社に

桃太郎のマークで知られる丸和運輸機関は、2021年3月期の売上高が1121億円で前年同期比14.0%増、営業利益が80億円と同11.5%増、経常利益が82億円で同11.8%増となり、8期連続で増収増益を達成した。株式を上場してからの7年間で、時価総額を25倍とし、伝説を作ったと言ってよい。

和佐見社長は敗戦の年、1945年にきょうだいの7番目として生まれ、母親の病気を治したい一心で中学生になると埼玉県吉川町の青果市場でアルバイトを始め、中学卒業後には東京・日本橋の青果店に就職し、19歳で千葉県に、22歳で東京都に自分の店を開いた。同時期に、熱血漢の彼は恩人のために躊躇なく保証人を引き受けた。しかし、不幸にもその恩人が亡くなり、すべての債務を引き受けることになり、24歳で自身の店を失い、残されたのは小さなトラックだけだった。

まさに、このトラックが、彼を運送の仕事へと導いたのだが、頼るものは若者の持つ勇気と力だけだった。ちょうど、初めての東京五輪の余波によって、日本経済は勢いよく成長し、和佐見社長の事業は追い風を受け軌道に乗り、規模を拡大し続けた。

和佐見社長は若いながらも、時代の流れを掴んだ。当時の日本は製造業大国であり、製品は国外でも販売され、メード・イン・ジャパンの名は世界に轟いていた。しかし、平成の時代に入ると、日本の製造業は人件費が安いアジアの国々に生産基地を移転し、産業の空洞化が深刻になった。

和佐見社長は、日本は製造業大国から消費大国に変わることを察知し、日本市場の動向を研究し、マツモトキヨシに着目した。彼はマツモトキヨシを訪ね、サポートを申し出るとともに、三つの施策を提案した。一つは「在庫ゼロ」、二つ目は「100%納品」、三つ目は「NO検品」である。「NO検品」とは、丸和運輸機関の納品時の誤差を0.0001%以下に抑えるということで、物流サービスにおいては最高のクオリティーである。マツモトキヨシは迷うことなく丸和運輸機関を選択した。和佐見社長は「自分の経営上の判断材料として、相手に成長をもたらすことができるかどうかを一番に考える」と話す。

ドラッグストアにおける夜間納品も丸和運輸機関が初めて取り組んだ物流モデルである。一般に納品時間は朝8時半から夕方6時までのあいだであり、開店後と閉店前に合わせている。しかし、深夜の道路は空いており、渋滞などの障害がないため、効率が上がり、配送時間を短縮できた。

1990年に、丸和運輸機関は創業20周年を迎え、その頃から和佐見社長は欧米等に毎年視察に赴いている。2000年前後には、Eコマースの発達を目にし、和佐見社長は日本でも将来はEコマースが主流になると予測し、その時に備えて準備を開始した。

「2020年現在のネット通販率は、日本が約8.0%、中国が30%、アメリカが14%ですが、世界各国のネット通販率は、今後さらに20%以上上がることが予想されます。当然日本にもまだ大きな成長の余地があります」と和佐見社長は話す。

本社前にて社員との記念撮影

 

物流という海の大魚は小魚とともに成長

ゼロから起業しながら、恩人の負債を背負い、一夜にして全てを失った和佐見社長は、事業というものは競争するだけでなく、皆で一緒に成長を享受すべきだと考えている。丸和運輸機関は業界一位を目指すと同時に、日本の物流を世界一にすることを望んでいる。

丸和運輸機関は2015年4月にAZ-COM丸和・支援ネットワークを構築し、日本各地に分散している物流の中小企業にトレーニングサポートと経済的サポートを提供し、物流業の社会的地位と存在感の向上に取り組んでいる。同時に、ネットワークに加盟する中小の物流企業に恒常的に配送等の仕事を提供している。現在、会員企業は約1600社だが、和佐見社長は2030年に5000社、2040年には1万社を達成することを目標に掲げている。

このネットワークは、日本仏教の母山とされる比叡山延暦寺の礎を築いた伝教大師最澄が説いた「一燈照隅、万燈照国」(一つの灯火だけでは片隅しか照らせないが、一隅を照らす人が増えていき多くの灯火となれば国中を照らせる)を理念に掲げている。この理念は、BCP物流にも通じる。例えば、日本に大災害が発生した際には、連携して物資援助を展開する。大規模災害発生時には、丸和運輸機関が日本の物流の司令塔になり、すでに確立されたAZ-COM丸和・支援ネットワークの連絡網を利用して指揮し、迅速に対応する。ある地域が被災したら、非被災地が迅速に全国各地の会員企業を組織、動員し、燃料を確保して供給し、被災地へ物資を運ぶのである。

現在、AZ-COM丸和・支援ネットワークは、首都圏の東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県と数十の市町村とBCP(事業継続計画)協定を締結している。今後は全国の各自治体との締結を計画している。災害の発生後、必要な車両、人材を提供し、組織的な総合救援活動を展開する。

東日本大震災発生後の2011年5月、丸和運輸機関は中国駐日本大使館と中国駐新潟総領事館に協力し、ミネラルウォーターを東京港、新潟港から福島の各被災地まで無償で運送し、同年10月には駐新潟総領事館から感謝状が贈られた。

新潟総領事館からの感謝状

 

30年にわたる中国との縁

丸和運輸機関の中国への協力は、救援物資の無償運搬だけにとどまらない。和佐見社長と中国の縁は28年前にさかのぼる。当時、物流の専門家として招かれ3年間にわたって北京で指導した。北京に着いたばかりの頃、彼は中国と日本のギャップの大きさに大変驚いたという。その後も北京の物流企業、大型チェーンスーパーなどの招きにより、現地に赴き指導し、日本の成熟した物流システムを中国に紹介したが、当初の驚きは徐々に喜びに変わった。今では「両国の状況は逆転する状況である」と話す。

その変化は、和佐見社長の貢献によるところも大きい。彼はグローバル物流の人材育成を大変重視しており、2011年から北京交通大学に丸和運輸機関の奨学金制度を設け、累計で150名の学生を支援した。優秀な学生は卒業後、直接丸和運輸機関に就職して日本で仕事をすることもできる。2018年、北京交通大学と丸和運輸機関は「物流創新研究所」を設立した。このように和佐見社長は、物流分野の教師の科学研究や物流学科の発展のための支援を続け、大学の国際化の歩みを後押しし、中国の大学と社会に貢献している。

和佐見社長は客員教授として定期的に北京交通大学で講義を行っており、「物流分野には、日本にはまだ中国の参考となる細かなルールがたくさんあります。両国が協力すれば、さらにハイレベルの物流を構築できるはずです」と話す。

和佐見社長は心から中国を愛し、中国について語り始めると止まらない。「もし何歳か若返ることができるのなら、中国で何年か生活してみたい」、「私の一番好きな『人縁良好』という言葉は中国から来たもので、人と人が出会うことは、何と幸せなことだろうという意味で、私が目標としていることです。私は中国の歴史から多くのことを学ばせてもらいましたので、中国に恩返ししなければなりません」。

丸和運輸機関はトラック輸送と鉄道輸送を含む陸海空の「連合運輸」モデルの構築に力を入れている。展開している3PL事業の三つのドメインは、低温食品物流、医薬・医療物流、EC・常温物流である。和佐見社長は、「『民は食をもって天となす』です。中国の低温食品物流分野にはまだ改善の余地があり、中国14億人の民の食の安全をさらに向上させなければなりません」と話す。コロナ禍以前、丸和運輸機関は中国市場に進出し、これまでの指導的立場から、低温食品物流分野をリードする立場へとレベルアップさせる計画だった。

丸和運輸機関は、日本の3PL(サードパーティー・ロジスティクス)の先駆者であり、特に安心・安全な食品の物流センター運営にノウハウを持つ。第三者に物流を委託することで、本業の利益増強、物流利益や商流利益、店舗改善効果などのパフォーマンス、価値を創出する、7PL(セブン パフォーマンス ロジスティクス)の提案活動を、中国においても展開していきたいと考えている。丸和運輸機関には、中国商業連合会や北京交通大学から紹介された、有力小売企業とのつながりがある。こうした企業と相互理解を深めながら、如何に中国の物流に貢献しつつ自社の利益にも繋げていくか、活動の在り方について中国タスクチームを作って検討しているところである。

7PL図

 

丸和運輸機関グループの冷凍コンテナは、発電機と商用電源により、温度をマイナス25度から20度の間に設定することができ、鉄道、船舶、トラックの組み合わせによって鮮度を保持し、総合運輸を実現している。ゆえに、必ずや丸和運輸機関の世界一流の技術と経験を、中国の人々のために活かし、中国の低温食品物流をさらに一段階レベルアップさせたいと考えている。

 

「報恩感謝」「利他主義」を貫く

丸和運輸機関は、社会人ラグビーチーム「AZ-MOMOTARO’S」を運営しており、大学ラグビー部員を積極的に新卒社員として採用している。2021年7月、同社と東京大学スポーツ先端科学連携研究機構(UTSSI)がタッグを組んで、スポーツ科学の共同研究を行うことになった。また、和佐見社長が個人として約20億円の寄付を行い、東京大学の柏キャンパス内に天然芝・人工芝のフィールドやクラブハウスを備えた、身体運動に関する先進的な研究が可能な「柏センシングフィールド(仮称)」を整備する。

また、400億円以上を投資し、首都圏の食の「安心・安全・安定」を支え、環境・社会に優しい超高度で最先端の食の流通プラットフォーム「松伏物流センター(仮称)」を建設する計画である。

松伏物流センター(イメージ)

 

和佐見社長は、半世紀の日々を総括して、「報恩感謝」だと振り返る。彼は社内に丸和ロジスティクス大学を設立し、階層別に教育を徹底し、今年25年目を迎えた。彼は「人材の成長がなければ社会の発展もなく、時代も進歩しません。これは全世界共通の課題です」と教育の重要性を語る。

彼には労働者が持つ質朴な雰囲気がある。労働を愛し、労働を崇拝し、労働者に関心を寄せる。2018年、彼は自身が保有する時価約5億円分の丸和運輸機関の株式を無償で社員に贈与したが、その市場価格は現在では4倍になっている。2020年のコロナ禍で日本社会の運送に対するニーズは大きくなり、丸和運輸機関はコロナ拡大防止と経済の正常化に尽力した。社員たちの頑張りに応えるため、和佐見社長は再び、個人として10億円を社員に贈与した。

「コロナ禍での皆が尋常ではない努力を、私は全てこの目で見てきました。彼らの努力があってこそ、われわれ企業も大きくなれます。これは全て皆の功績です」。

努力が報われると、社員の仕事への熱意は高まり、満足感は倍増し、企業と社員の運命共同体が作られるのである。和佐見社長の「報恩感謝」の心が、そんな好循環を生んでいるに違いない。

これは山を切り開き、川に橋を架けるべく夢を追い続けるファイターの物語である。これは、挑戦と開拓を続け、空想に走らず、虚勢を張らず、学び続け、勝ち続けるスマート企業家の経歴である。

今回は、心の奥底が強く共鳴する取材となった。そして、自分自身を広い世界に誘い、死ぬまで志を持って奮闘しようという気持ちに駆り立ててくれた。

半世紀にわたる世界との闘いの輝きは褪せることなく、興味は尽きない。

本社全景

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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