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世界初の真珠の魅力を中国の皆さんと共有したい
松下明弘 株式会社IRIS・PARURE代表取締役
5/21/2021 10:07:11 AM  文/本誌編集長 蒋豊
 
 


撮影/本誌副編集長 原田繁

愛媛県は真珠の生産量で日本一を誇る。真珠の養殖で老舗の松下眞珠養殖場(株式会社IRIS・PARURE)の松下明弘代表取締役は、世界初となる通常の2倍近い大粒のアコヤガイ真珠の開発に成功した。完全な丸い形ではなく、表面の自然な歪みが魅力の「バロック」と呼ばれる真珠だ。松下社長は取材に対し、「誰も作ったことがなかった面白い真珠の魅力を中国の皆さんと共有したい」と語った。

生産量日本一の愛媛の真珠の魅力

—— 愛媛県は真珠の養殖で世界的にも有名ですが、愛媛の真珠の魅力について教えていただけますか。

松下 現在、愛媛県宇和島市では基幹産業として真珠の養殖がおこなわれています。愛媛県は、真珠の生産量では日本一ですが、大手加工業者が立地せず、産地としての知名度は三重県と比べて低いのが現状です。

愛媛の真珠の魅力は、真珠にアコヤガイらしい「干渉色」という虹色が出現しやすい漁場で、他県の真珠と比べて、非常に高い評価を受けています。稚貝の孵化から製品づくりまで、ほぼ一貫生産でやっているのは、愛媛県では今のところ県内一の老舗となった当社だけです。

真珠の養殖では、バブル経済の崩壊で影響を受け、20年ぐらい低迷期が続きました。また、リーマンショックでも厳しい時代を乗り越えるなか、倒産、廃業など結構相次ぎ、愛媛県でも1995年(平成7年)までは600人以上いた業者が、今では230人を切るまでに減っています。しかし、近年になって、ようやく中国の観光客の皆様や本土の方の日本真珠の購入意欲に助けられています(笑)。

「種を制する者は世界を制する」を信条に

—— この事業を始めようと思ったきっかけは何ですか。御社の真珠を全面的に養殖している松下眞珠養殖場の特徴を教えてください。

松下 大学の水産学部に入った当初は、将来的にいろいろ水産関係の研究をしたかったのですが、真珠の養殖は家業でもありましたので、自分の研究を生かせる仕事かとも考え、地元の水産高校の講師を1年間務めた後、事業を継承いたしました。その父・幸雄は(つい先日亡くなりましたが)この地域では最初に真珠の養殖に取り組み地域に広めていきました。

松下眞珠養殖場の特徴としては、一つは稚貝の孵化から生産していることです。自然に付着する天然稚貝を母貝にして真珠を作るのではなくて、「種を制する者は世界を制する」という言葉があるように、アコヤ貝にもいろいろな特徴を持った貝がありますから、まずは強くて元気に育ち、真珠がよく巻くという貝を選抜して交配させることで良い真珠が採れるための基本であると考えています。史上最強のアコヤガイと言われる「ベニアコヤ@」は当社の開発した最高傑作の改良品種です。

もう一つは、養殖からほぼ一貫していろんな種類の真珠製品をつくっていることです。今、おそらく中国で売れているのは、ラウンド(円形)の白い真珠が中心ですが、本来天然の真珠はラウンドはほとんど無くいろんな形、またいろんな色の真珠がありますので、当社の方針(ブランディングポリシー)として、それら多様な真珠をデザイン提案し、皆様に楽しんでほしいと考えています。その他「アコヤ10mm珠」の生産、「ハートパール」の生産など、研究開発を行い、製品作りをしているのが当社の特徴と言えます。

世界初の大きな真珠の開発に成功

—— 世界最初の大きな真珠の開発に成功したそうですが、それはどのよう真珠ですか。

松下 世界初となる直径が通常の2倍近い大粒のアコヤガイ真珠の開発に成功しました。それは、完全な丸い形ではなく、かなりラウンドに近い、表面の自然な歪みが魅力の「バロック」と呼ばれる真珠です。

「バロック」とはポルトガル語のbarroco(歪んだ形の真珠の意味〉に由来することばで、宝飾品を愛好する歴史が長いヨーロッパ等では、「バロック」のような自然な形を楽しむパールにも人気があり、高い評価を得ています。

今回開発した真珠の、アコヤガイに核を入れてから真珠を採取できる割合(生成率)が、当初は非常に低くて5%以下でしたが、研究を積み重ねて今では大体50%ぐらいまで生成率を上げることが出来てきました。そしてアコヤガイでは今まで誰も実現できなかった11~15mm中心(最大20mm)の世界に類のないナチュラルブルー系の大型真珠(Blue.Huge.Akoya@)で、同時に11~13mmと言うホワイト系ラウンドの通常の真珠の開発にも成功しています。

「養殖真珠と天然真珠に変わりはない」

—— 昨年までは中国人観光客が多く訪れていたということですが、真珠に対して日本と中国、海外では感覚に違いはあるのでしょうか。

松下 今はまだ随分違うと思います。(日本人も昔はそういうところがありましたが)真っ先にお伝えしたいのは、中国の加工業者は、素材として日本の真珠だったらいいと言います。それを例えば、真珠を緑色とか深紅とかに染めてみたりして、何でもいいから売れればいいという感覚をお持ちの業者さんが結構いらっしゃいます。そんな状態ですからユーザーにしてもまるでビーズなどのアクセサリーの素材感覚で真珠を見ていらっしゃる方もまだまだ多いようです。

ここで真珠の原点について少しお話ししたいのですが、真珠養殖が始まって間もない黎明期に、「御木本パリ裁判」と言うこの業界では有名な裁判がありました。当時のヨーロッパではほとんどが真円でない天然の真珠が主流であり、真円で品質の高い日本の養殖真珠がヨーロッパに輸出し出回り始めた間もない1921年(大正10年)、最初はロンドンの宝石商から、「日本の真珠は養殖だからニセモノだ」と言われ、それがヨーロッパ中に蔓延したものですから、いわゆる日本の真珠排斥運動みたいな状態になりました。それで、現(株)MIKIMOTOの創始者:御木本幸吉さんは裁判を起こして、3年間にわたって争うことになったのです。そういうわけで1924年(大正13年)、最後はパリで決着するんですが、学者から「養殖真珠と天然真珠は科学的な違いはない」と証明され、勝訴が確定するのです。

このことで養殖真珠の確固たる地位が固まり、養殖真珠はさらに世界中に広まっていったんです。

無調色の真珠だからこそ子々孫々受け継がれていく

—— アコヤ真珠の色にもピンクやブルー、グレーなどいろんな色がありますね。

松下 実は皆さん知らないと思いますが、ほとんどのアコヤ真珠には調色といって、化学的な加工の段階の最後に、赤い色を多少つけて出荷しているんです。お化粧の意味合いです(笑)。染料は化学染料なんですが、この調色については、アコヤ真珠らしい赤色を強調する考え方で発生した作業で、1980年(昭和55年)ごろからこの調色加工が加工業界全体で始まったんです。

しかし実は四半世紀以上遡ること御木本幸吉さんは、自社の加工担当者に「真珠に加工は一切するな」とずっと言い続けてきたそうなんです。それは養殖とは言え真珠が宝石である以上過度に加工をすると、場合によっては価値を落とすことを、パリ裁判を通じて身に染みて理解していたのではないかと私は容易に察することが出来ます。その御木本さんは1954年(昭和29年)にお亡くなりになるのですが、もし仮に1975年(昭和50年)ぐらいまで生きておられたら、この調色加工だけは絶対認めなかったと思います。

化学加工の工程上必要なもう一つの「シミ抜き・漂白」という作業は、真珠の色の引き算であり、元々持っている干渉色を引き立たせる作業なんですが、「調色」という作業は、その真珠に元々無い色を過剰に足して付け加えてしまうわけですから、私は良くないと思っています。

さらに問題は、化学染料を入れれば、その染料は必ずいつか退色し、その影響で真珠は少なからず変色していくのです。今は随分落ち着いた薄化粧になってきましたけど(笑)。この調色加工については、業界的に今さら後戻りはできないのかもしれませんが、当社では1994年(平成6年)年から一切の調色を止めてきたように、これからも真珠そのものの自然の色を大切にして、無調色でやっていきたいと考えています。

—— 中国の女性にとって、真珠は単に宝飾品というだけでなく、財産という感覚があるように思います。

松下 真珠は金(ゴールド)みたいに価格が上昇していくわけではないので、財産になるかどうかの判断は私には難しいですが、親から子へ、子から孫へ永遠に受け継がれる宝飾品であることは間違いありません。そのためにはやはり変色しないことが大切だと思います。真珠が無着色であるべきだという所以はそこにあります。

バロック真珠の魅力を共有したい

—— 現在、新しい真珠の開発と販売に力を注いでいますが、今後、地域ブランドをどのように育てていきますか。

松下 目指しているのは、ここ愛媛県の当社にしかない本当に希少なこの真珠をブランド化することです。バロック真珠のブランドイメージはまだあまり知られていませんが、宇和海の優れた海洋環境と、粘り強い性格の県民性を生かした真珠づくりでは、日本一だと自負しています。

中国の方は、今は丸い真珠を欲しがっているようで、これはどこの国も一般的には同じだと思いますが、私自身は、従来アコヤ真珠では出来なかった世界初のこのバロック真珠の魅力を中国の皆さんと共有したい。そして世界中の人々に、別名「宇和海のPIONE(ピオーネ)」と称されるこの真珠をもっと知ってもらいたい、という強い気持ちがあります。

一方でこれはユニークな話ですが、宇和島の真珠と日本の伝統工芸である輪島塗とのコラボ菜箸をつくるなど、これを機会に中国の皆様との御縁を大切にして、ひいては世界中の皆様にも喜んで頂けることを願っています。

 

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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