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アジアの眼23
詩人のような彫刻家――沈烈毅氏
1/22/2020 4:16:31 PM  文/洪欣(ホンシン)
 
 

年明けて元日、無錫は太陽が美しい初日だった。隈研吾氏がトータルリニューアルした無錫万科の不動産プロジエクトによって、栄氏一族の商業地だった場所が工場エリアの改造と新築のアート・センターも含めて、新しいホット・スポットとしてリノベーション(再建)された。そのオープニングセレモニーに合わせて、隈研吾氏デザインのアート・センターで中国美術大学の教授で彫刻家の沈烈毅氏を取材してきた。翌日に個展のオープニングを控え、取材した元旦はまだ設営中だった。「風の中の風」というタイトルの個展では、彼の近年の彫刻作品とインスタレーション作品が展示されていた。


撮影/李旺

杭州生まれの杭州育ちで美しい杭州が育てた詩人のような彫刻家。硬い石と柔らかい水、石の表面を黒く滑らかに水の水紋に表現した彫刻作品は、公園で、自然の中の美術館の中で、みんなが座る場所にもなるが、彼がどこかで見た写真、黒い水に浮かんだ落ち葉一枚の印象の再現だったらしい。

実は、沈氏自身が幼い頃、溺水して死にそうになった経験があり、水は怖い存在だという。だが、怖いからこそ起こった畏敬の念みたいなものがあるという。

杭州はシルクの有名な産地である。国営の染織工場にご両親が勤めていたこともあり、当時は家庭環境には恵まれており、家族が与えてくれたクレパスでセメントの地面に落書きをして一日が暮れてしまうといった幼少時代であったという。


撮影/李旺

詩のような彫刻作品、その詩性はどこから来たか。杭州の美しい自然と温暖な気候が育んだ自然の表れだと彼は述べる。
静水流石、2013年作、アトリエ提供
彼は、杭州出身の彫刻作家で、1995年に中国美術学院彫刻科を卒業し、杭州を拠点に活動している。中国のみならず、海外でも展覧会や芸術祭、コンクールに参加し数々の賞を受賞している。現在は、中国美術学院の彫刻・パブリックアート科で副学科長として教鞭をとる傍ら、自身の創作活動も精力的に行っており、2016年に代官山のアートフロントギャラリーで東京初個展を開催している。

沈氏の作品では、湖面や雨など水にまつわる境地をテーマとしている。変換自在な水の性質とは対照的に、それを表現する素材として彼は硬い岩石や木や金属を使っている。その対峙する要素の融合、一滴の水滴が水に滴り落ちたその瞬間を、その波紋を凝固させたかのような表現が彼の作品の特徴となる。要するに、造形の激しい表現を好む傾向の多い彫刻の世界で、どちらかと言えばとても表現しにくい「境地」を確立したとも言える。


静水流石、2013年作、アトリエ提供

幼少の頃に水に溺れた経験もさることながら、風光明媚な都市として名高い杭州で、西湖の豊かな水と緑あふれる環境の中で生まれ育った彼にとって、日常に最も目にしてきたことからも、水をテーマにした表現はある意味必然的でもあった。西湖は、かの中国四大美人の一人・西施に因んで名付けられており、その美しい湖面と枝垂れ柳の美しさは数多くの文人、詩人によって詠まれたほどである。

「雨」という作品から「静水流石」「舟」「長堤一痕」「湖心亭一点」等、水をテーマにした作品群たち、「静水流石」は長い木の表面に水の流れを表現し、その水の波紋に石を配置した作品。石は水の流れで潤っているのか、水は巣の石の存在によって流れを変えているのか、大自然の中で水と石の関係性を静かに表現し、見る者に問題を投げかけている。


シーソゲーム、アトリエ提供

作品「舟」は、石の素材で舟の形をとるが、木の代わりに使った石よりも、人類のもっと古い時代には本当にあったかもしれない、過去と現在のあるいは未来との時間軸の関係を表現している。

水の話をしていたら、幼少時代に水に溺れ死にそうな経験があったらしく、やっとのことで命拾いしたその日は毛沢東の祭日だったらしく、多くの人がとても悲しく泣いていた記憶があるという。

作品「空遊雲行」は、竹と金属を使った野外作品。2016年中国繊維トリエンナーレに出品しているが、作品の中で遊ぶ過程で行われる対話、幼い子供時代の夜空の星々を眺めていた記憶や蛙の鳴き声を聞きながら寝ていた記憶たちが懐かしく甦ってくる。感性豊かな少年時代、人は皆もう少し自然に近いところで遊び、関係性を持つ敏感さを持つのかもしれない。

作品「湖心亭一点」は水に浮かばせたステンレス素材の作品。作品にお月様や木々が映り、詩的な風情を漂わせる。ため息が出るような耽美な作品世界だ。作品による「借景」である。


天梯、アトリエ提供

作品「天梯」は19メートルもある竹でできた梯、その名の通り天に届きそうな梯で、竹の枝たちがとても高いところで命を保ち続ける。
天と地と人間の関係。この作品群は、作家沈氏の静と動、虚と実、疎と密、曲と直、凸と凹、黒と白、濃と淡、相対峙する要素たちが作品に潜む調和の瞬間を生む。

広場に設置されたシーソゲームでは、様々な素材が使われている。シーソゲームの真ん中には植物が設置してあったり、鐘がぶら下がっていたりと多様な表現をする。親子で楽しむ日常生活の遊び場。娯楽性のある遊び場だが、シーソゲームは片方が下がった時にもう一方が上がるので、相手が見えない。あるいは読めない。それもある意味哲学的なリアルな人間の関係ではある。

自然と人間の関係性、そして人間と物質の関係は東洋美学の禅の教えでもある。詩人のような彫刻家、コンセプチュアルなインスタレーションの作品世界はまた異次元の深い世界を見せている。常に新作が楽しみな現代作家の一人だ。

洪 欣

東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。ダブルスクールで文化服装学院デザイン課程の修士号取得。その後パリに留学した経験を持つ。デザイナー兼現代美術家、画廊経営者、作家としてマルチに活躍。アジアを世界に発信する文化人。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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