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リウマチ患者の心身両面を癒す
山口 晃弘 下北沢病院院長に聞く
2/22/2016 2:14:35 PM  文/本誌記者 蒋豊
 
 


撮影/本誌記者 呉暁楽

リウマチは体中の関節に症状が現れ、その症状の出方に個人差も多く、完治が難しく長期にわたる病気の一つである。もし、合理的で適切な治療を受けられなければ、関節や骨が変形して機能障害が生じてしまう。そして、日常生活や仕事に差し支えるようになり、最終的には動作が不自由なために自立した生活ができなくなる可能性がある。また、リウマチに使用する薬は比較的副作用が多く、頻度は低いが命に関わることもある。現在、中国では約200万人がリウマチを患っていると言われているが、中国でのリウマチ研究のスタートは遅く、地方の病院では弱小診療科となっており、臨床研究も進んでいない。民間療法に頼る例も多いのが現状だ。一方で、日本は医療先進国と世界でも認められている。その日本のリウマチ研究の現状と先進的な治療法を知るために、先日、東京都内の下北沢病院を訪ね、25年間のリウマチ治療経験を持つ専門家である山口晃弘院長にお話をうかがった。

内科と外科を組み合わせてリウマチに対処

 —— リウマチは慢性疾患であり、統計によると、日本では100人に1人がリウマチに罹っているそうです。先生はリウマチ分野の権威であり、貴院は多くのリウマチ患者を受け入れている病院ですが、日本におけるリウマチの治療法とその特色を教えていただけますか。

山口 リウマチは世界共通の病気で、日本のリウマチの有病率は0.8%から1%程度ですが、欧米の場合もほぼ同様です。リウマチはすぐに患者が死亡するわけではありませんが、完治はしにくく、その苦痛は往々にして一生つきまとい、治療期間は長期にわたります。ですから、治療を始める前に患者に病状や治療内容、治療の危険性について、詳しく説明して十分理解していただきます。

例えば抗リウマチ薬は効果がすぐには現れない薬で、症状が軽い日も飲み続ける薬であることなどを理解してもらいます。リウマチは特に治療が長期にわたりますから、病気と戦う主役は医師ではなく患者自身であると十分に心の準備をしていただき、積極的に治療に関わって頂くようにしています。

リウマチの治療は内科的治療と外科的治療に分けられて、私は内科治療が専門です。リウマチの患者は女性が多くて40歳台の発症が多いです。関節の症状が出ると、まず整形外科を受診することが多くて、病気が進んでからやっとリウマチ科に掛かることも多いのです。もし早期のうちにリウマチ内科にかかって治療をすれば、完治して後遺症も残らない可能性も出てきます。

リウマチの早期症状の一つは、手首や指の関節の痛みです。特に、朝にこうした症状が強く出ます。痛み止めの薬で痛みを抑えるだけでは、関節は徐々に変形してしまいます。変形してしまった関節は外科手術をするしかありませんが、当然ながら他の関節の悪化を阻止することはできません。リウマチ治療で最も理想的なのは内科治療を十分に行い、内科治療で抑えきれなかったら適切な時期に整形外科での手術を行うことと思います。

リウマチ治療はここ10年で大きく変わりました。リウマチの治療薬として、短時間で強い効果が期待できる生物学的製剤と呼ばれる注射薬が発売されたからです。この薬のおかげで「寛解」(薬を使っていれば症状が無い状態)を達成できる率がずいぶん高くなっています。

ただ、生物学的製剤も万能ではありません。リウマチが患者に及ぼす一番の苦しみは関節の腫れと痛みで、私はまず目の前にある痛みを何とかしたいと思い、腫れて痛んでいる関節に直接ステロイド(副腎皮質ホルモン)を注射しています。ステロイド関節内注射は、狙った関節に薬が高濃度で直接作用しますので、速効性があり、強力に狙った関節の症状を軽くします。飲み薬の抗リウマチ薬は効果が出るのに2、3カ月掛かったりしますが、関節注射は注射して数時間で痛みが治まります。

リウマチを根本から抑えるには、内服の抗リウマチ薬や生物学的製剤をきちんと使っていくことが大事ですが、その上で抗リウマチ薬が効くまでの間やどうしても痛み・腫れが取れない関節に対しては適宜ステロイド関節内注射を併用することが良いと思います。しかしながら、日本のリウマチ界ではリウマチの治療薬が進歩するにつれて、関節注射がほとんど行われなくなっているのが現状です。

カラーコーディネートで患者に安心を

 —— 貴院は良い意味で「病院らしくない病院」と言われています。たとえば、1階はフレッシュなグリーン、2階は違う色と、フロアーごとにテーマカラーがありますが、これは先生がデザインされたのですか。どんな理由があるのですか。

山口 私は小さい頃病院が怖かったので、現在医師になっても知らない病院に行くのは緊張します。医療関係でない人は尚のこと病院で緊張すると思います。

最近の診察室は、患者のプライバシーを守るために、カーテンでは無くしっかりしたドアで仕切られています。診察室の外で待つ人には中の様子が全く分からず不安になるでしょう。中の医者はどんな人だろうか、中で何をしているのだろうか、どのように診察されるのだろう、などと考えます。

ですから、当院では診察室の外に、医師の顔写真や性格、趣味、診療のモットーなどを紹介する看板を掛けてあります。そうすることで、患者は診察室に入る前に医師のことが分かって多少親しみが持てるようになります。

私の看板には、キュウリ、スイカ、メロンが嫌いと書いてあります。スイカが嫌いだなんて珍しいという人もいますし、思っていたのと実物の印象が違う場合もあるようです。何らかのコミュニケーションの手始めになれば、医師と患者の信頼関係にも良く働くと思います。

フロアーごとの色の違いについては、インテリアコーディネーターの力を借りました。色彩心理学によれば、ブルーは時間が速く過ぎるように感じ、アカは逆に時間の経つのが遅く感じられるそうです。そのように、当院ではフロアーや場所の用途や機能に合わせてテーマカラーを変えて、患者が少し快適に感じられるようにしています。


撮影/本誌記者 呉暁楽

プールでのリハビリは有効

 —— 貴院の資料を拝見したところ、貴院では多角的なリウマチ治療を行っていますね。リウマチの薬物治療だけで無く、リハビリにも力を入れています。さらに、リハビリのために温水プールもあるとのことです。日本で温水プールのある病院は少ないのではないですか。

山口 そうですね。プールのある病院は非常に少ないです。残念ながら、当院でも事情により2015年3月でプールは閉鎖してしまいましたが、リウマチに対するプール療法は非常に有効です。

当院の前身は福原夫妻の建てた福原病院でした。奥様がリウマチにかかり、アメリカでプールを活用したリハビリを学んで帰って来られ、プールを備えた病院を建てたのです。

リウマチを始めとして、膝や足首の関節に炎症のある人は、歩くと足に体重がかかりますから、歩くことで関節を傷めやすいのです。痛みのためにだんだん歩かなくなる。そうすると脚の筋肉が落ちてしまって筋肉による支えが弱くなりますし、関節も固くなってきてしまいます。歩いて脚を鍛えなければいけないのに、歩くと足が痛くなって歩けなくなるわけです。

これに対して、プールの水の中で歩くと、水の浮力によって足に掛かる重みの負荷がずっと少なくなって膝や足首の痛みが軽くなりますし、水中で速く歩こうとすれば水の抵抗がぐっと増えるので筋肉を鍛えることも出来ます。重症の関節炎の患者でも、自分の体調に合ったトレーニングが出来るのです。寝たきりで歩けない患者でもプールの中では立つことが出来て、プールリハビリを続けることで地上でも再び歩けるようになるのです。

当院は地域の方々のニーズに合わせた医療を提供すると同時に、リウマチ患者の復権を重視しています。それは福原夫妻の遺志でもあります。

中国の患者に治療を体験してほしい

 —— 近年、日本政府は積極的に医療ツーリズムを推進していますが、貴院は中国人患者を受け入れていますか。また、これまでに治療をしたことはありますか。

山口 現在は中国人の患者が二人いますが、お二人とも長く日本で生活されていて日本語も問題ない方です。

日本では医療機関の広告には細かい規制があり、たとえ最先端、最新の医療技術があっても、派手に宣伝することができません。まずは患者に病院まで足を運んでもらって、ご自身で体験していただくのが一番です。これは、即効性のある関節注射についても同じで、ぜひ自分で体験して効果を実感してもらいたいと思います。

私は、中国の患者にも我々の持つ医療サービスを提供したいと思っています。中国の患者も当院で診察を受ければきっと満足していただけます。病院経営の面からいうと、日本の人口は減少し続けており、製造業、小売業ともに大きな危機感を持っていますが、医療の世界も同様です。日本の医療技術と環境は進歩を続けており、分野によっては欧米を超えている部分もあります。もし、今よりも多くの国の患者に良い医療環境と先端医療技術を提供できれば、患者にも日本の医療機関にも双方に利益になるでしょう。

25年の経験で患者の心を治す

 —— 先生の部屋の書棚には恋愛小説、科学、日本語学、宗教、自己啓発など広い分野の本が並んでいて、医師の書棚らしくないですね。先生はなぜ医師を志したのですか。

山口 私の父は自動車メーカーのホンダの技術者でしたので、子供の頃は父のように技術部門の仕事をしてみたいと思っていました。ただ、一日中機械や図面に向き合っている人生は寂しいかなとも思いました。私は多くの人と触れ合い、人を対象とした科学的な仕事をしたいと思い、高校時代に医学を志すようになりました。

医学部では、外科の実習で何度か手術の助手に入れてもらいましたが、手術は患者を麻酔で意識のない状態にして行います。個人的な感想ですが、手術を受けている患者は一種の精密機械の様であり、執刀医は悪い部品を取り除いて残った部分を組み立て直す機械修理屋のように感じたのです。私の、人として向き合いたいという初志とは大分ずれていましたので、最終的には患者の心身両面に対応できる内科医の道を選びました。

リウマチは、その病像は患者によって多彩で、病院の特定も完治も難しい、一生付き合っていく病気です。医師は、患者と共に適切な治療プランを選択し、痛みの軽減、病気の進行の停止、機能の改善が出来るようにサポートします。

私はリウマチ治療をライフワークにしようと決め、そして25年が経ちました。今も、病気の治療は患者自身が回復力(治ろうとする力)を発揮するためのお手伝いであるとの意識でリウマチ治療に当たっています。

取材後記

人の心はみな同じ、心の働きもみな同じ。医師と患者間の紛糾が中国で大きな社会問題となっている今日、「共感」は医療従事者にとって必修となっている。今回のインタビューを通じて、山口院長が人の身になって考え、患者の気持ちに寄り添い、終始患者の立場から出発した医師であることが感じられた。病院内の色彩の使い方や医師の紹介文にそれが現れている。共感から出発することができ、また豊富な医療技術と経験を持つ医師こそが、患者の体と心を同時に癒すことができる。山口院長は間違いなくそんな医師である。

 
  情報元:人民日報海外版日本月刊  
 
 
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